私が以前働いていたとある大規模グループ病院では転勤があり、13年で3回異動しました。
私が経験してきた放射線技師転勤事情をお話したいと思います。
転勤制度をいつ知ったか
新卒で入職した病院だったのですが面接の時から転勤があることは説明されており、当時21歳だった私はあまり深く考えずに転勤を受け入れて就職したのでした。
転勤のタイミング
昔は昇進するタイミングで異動だったようですが、私が入職したあたりから昇進無しでの異動も始まりました。
基本的には年度初めの年一回。
一度転勤すると最低でも2年、平均して5年ほど、長いと8年以上転勤先で勤務になります。
そして次の異動で元の病院に帰れるとは限りません。むしろそれは稀でした。
しかも転勤の辞令が出て実際に異動するまでの期間は約1ヶ月。
その間に引き継ぎや、引っ越しを伴う場合は部屋探しなどとても忙しくなります。
転勤先の希望
一応転勤先の希望調査みたいなものはありましたが、そんなにアテにはなりません。
ただこのご時世なので、ここ数年は小さい子どものいる家庭の異動はある程度配慮はされているように感じました。
しかしそれも長くて小学校に入るくらいまででしたね。
希望調査よりも大事なのは、人事担当者に気に入られるかどうかです。
やはり人事も人が決めることなので仕方がないのかもしれませんが、私は納得がいかないことも多かったです。
転勤の影響
良い影響
・放射線技師としていろいろな経験が積める
・人間関係の風通しが良い
・いろいろな土地に住める
病院が変われば当然検査内容も変わってきますので、放射線技師としてはいろいろな経験が積めます。
また同じ検査内容であっても、病院ごとにやり方が違ったりするのでさらに理解が深まったり気づきがあります。
またみんな同じように転勤している人たちで構成される職場なので、長い事居座る頑固な主(ぬし)みたいな存在は発生しにくく、仮に職場に苦手な人がいてもいつかは異動でいなくなるので、そういった所は風通しが良いのかなと思います。
私も転勤で職場が3回変わりましたが、どこも同僚や上司は人が良く働きやすい環境でした。
そして転勤がなければ住むことがなかっただろうなーと思うような土地に長くいることになります。
しぶしぶ赴任したとしても住めば都で、いろんな土地の魅力を感じることができます。
転勤を楽しむためには大事な要素です。
悪い影響
・単身赴任の可能性
独身時代はそこまで気に留めなかった転勤ですが、結婚すると少々事情が変わってきます。
引っ越しを伴う転勤だと家族に与える影響は大きいです。
妻が仕事をしている場合、通えない距離であれば辞めてもらうか、若しくは家族を残して自分だけ単身赴任になります。
「男が稼いで女は家事」みたいな昭和的家族像であればみんなで引っ越せばいいのでしょうが、今や共働きが当たり前の時代なのでそう簡単には行きません。
さらに子どもがいれば悩みはさらに深まります。
子どもと離れて単身赴任すれば貴重な成長の過程を見逃すことになりますし、その間育児を全て妻に負担させることにもなります。
私が聞いた中で最長の単身赴任期間は10年です…
単身赴任生活が長引けば、たまに家に帰ってもよそ者扱いなんてことも…
そして転勤は30代半ばに多く、ちょうど家やマンションを購入し始める時期でもあります。
せっかく購入したマイホームに住めず家族とも離れて単身赴任している方もいたくらいです…悲しい。
私の実際の転勤歴
私の実際の転勤歴をご紹介します。
慢性期病院(250床)新卒~1年目
新卒で入職したのは250床の慢性期病院でした。
出身大学の近くでも地元でもない人生で初めての土地でしたが、新生活にワクワクしていたことを思い出します。
技師は自分を入れて3人。
上司二人は歳が離れていましたが、とても可愛がってくれて日々楽しく働いていました。
またリハビリ科の職員さんたちと市内の病院対抗バレー大会に出たりと他職種との距離も近かったです。
しかし慢性期病院なので仕事の忙しさにはムラがあり、機器も旧式が多かったため放射線技師としては経験の積みにくい環境でした。
そこは技師長も問題意識を持っていてくれており、事あるごとに人事担当者に大きな病院への転勤をお願いしてくれていたようで1年で転勤が決まりました。
人に恵まれただけに別れが辛かったですが、技師としての今後を考えるとありがたい転勤です。
650床の急性期病院 2~4年目
技師2年目で救急も受け入れる650床の急性期病院へ赴任。
ハイスペック機器が揃い救急撮影も行っており今までの仕事内容とのギャップを感じましたが、ここで一人前になれればどこに行っても怖くないなとの思いで頑張りました。
プライベートでは結婚もし、職場環境も良好でここでしばらく(昇進のタイミングまで)腰を落ち着けて仕事できるのだろうと思っていた矢先、転勤の辞令が…まさに青天の霹靂でした。
400床の急性期病院 5~14年目
突然の辞令に驚いたものの転勤先は引っ越しの必要なく通えて大きな病院だったこともあり、また一つ放射線技師として新たな経験を積もうと心を入れ替えて頑張りました。
プライベートでは離婚からの再婚、子どもが生まれるなどめまぐるしい変化でした。
そんな中で迫る昇進、と同時に転勤。しかも定石どおり行けば引っ越しを伴う異動です。
転勤を見据えて子供のこと、妻の仕事のこと、収入のことなど妻といろいろ話し合いました。
その結果、次に遠方へ転勤となれば単身赴任は避けられないとの結論に。
本当にこれでいいのだろうか?家族と離れて仕事して幸せなのだろうか?何年で帰れるのかもわからない…子どもの成長を見逃したくない…甘んじて転勤に応じるか、転職するか…。
悩み抜いていろいろと動いた結果、35歳で転職して今の病院に移ったのです。
転勤のある職場への就職を考えている方へ
これから就職予定の病院に転勤制度があるならばよく考えてから決断することをおすすめします。
特に若い方は今のことだけでなくこれから起こるであろう様々なライフイベントについて、何年後かに結婚したときのこと、子どもが生まれたときのこと、家やマンションを購入したときのこと、その時自分は単身赴任する可能性があってもいいのかどうか。
それを我慢して受け入れてもよいほど、この仕事、職場が好きなのかどうか。
なかなかイメージしにくいとは思いますが、かつての私のようになんとかなるかーと適当に考えず、ぜひ一度深く考えてみてください。
というのも30代になって転勤が嫌なら転職すればいいやと考えたとしても、放射線技師の転職はそんなに簡単なものではないと思うからです。
後々苦労しないためにも、余裕のある時から考えておくことをおすすめします!