30代の私が経験した放射線技師の転職について

転職

私は現在35歳の放射線技師ですが、今年転職に成功しました。

今は良い職場とめぐり逢い平穏な日々を過ごしておりますが、ここに至るまで約2年かかりました。

私の放射線技師としての転職経験がどこかの誰かのお役に立てればと思い、ここにまとめておきたいと思います。

転職を考えるようになった理由

まずは私が転職を考えるようになった理由ですが、それは転勤です。

私は新卒で大きなグループ病院に入職したため、転勤があったのです。

実際勤めていた13年間で2回の転勤があり、次の転勤も目前に迫っていました。

当時の転勤についてはこちらの記事からどうぞ。

家族会議

独身時代はなんとか受け入れられていた転勤ですが、結婚して子供もいてマイホームも持つようになると自分一人の問題ではなく家族全体の問題となってきます。

そんな中で転勤の辞令が下りたらどうするか妻と話し合い、2つのパターンを考えました。

まず1つ目が家族全員で引っ越すパターン。

メリットは支出を減らせること、家族一緒にいられること、デメリットは妻が仕事をやめなければならないこと、住み慣れたマイホームを離れて育児しなければならないことが考えられます。

2つ目が私が単身赴任するパターン。

メリットは妻と子供がマイホームに住み続けられること、デメリットは私は家族と離れ子どもの成長も見逃してしまうこと、生活費が2倍かかること、妻の家事・育児の負担が増えること(正職員勤務が難しくなる)ことが考えられます。

妻は今の仕事にやりがいを持って働いているため本人も辞めたくないし、私自身も辞めてほしくないと思っているので1つ目のパターンは選びたくありません…

一方で私自信は家族と離れてまでこの職場で働き続ける意味を見出しきれず2つ目のパターンも受け入れられません…

どちらの道を選んでも人生が落ち込んでいくような気がしてなりませんでした。

転職を悩んだ理由と解決した理由

じゃあ転職すればいいじゃんと思いますが、なかなか一歩を踏み出せずにいました。

私が転職するかどうか悩んだ理由は3つになります。

・高給与
・大きな病院で働いているプライド
・魅力的な求人が見つからない

高給与

私が当時勤めていた病院は放射線技師の中では給与水準が高い方でした。

転職すれば年収が下がるのは確実です。

職場の先輩たちから聞く年収は魅力的で、ここで働き続ければ自分もそのくらい貰えるようになるなら転勤も受け入れるしかないか…と考えることも。

しかし妻に話すと…

・単身赴任して生活費がに二倍になったら昇給しても結局マイナス
・一人で幼い子ども二人育てながら今の職場の仕事はキツイから辞めなければならない→世帯年収低下

との指摘。それは確かにそうかもしれない…

さらに妻が「私は働くのが好きだからずっと働き続けたい。一人でたくさん稼ごうとせず、二人それぞれがそれなりに稼いで世帯収入で考えようと言ってくれました。

男なんだから一家の大黒柱としてしっかり稼がねばならない!と私の中に知らず知らずにあった昭和の価値観をぶっ壊してくれました。

妻、男前。

妻から求められていたのは高年収ではなく、家にいて一緒に育児や家事をしながら家族みんなで暮らしていくことだったのです。

そう思うと無理して今の職場にしがみついて稼いでも誰も幸せにならないじゃんと思えるようになり給与への執着はなくなっていきました。

高給与についての悩みは、一人で稼ごうとせず世帯年収で考えていこうとの方針で解決に至りました。

ちなみに年収についてはこちらの記事で公開していますので参考にどうぞ。

大きな病院で働いているプライド

次に悩んだのは大きな病院で働いているという放射線技師としてのプライドです。

最新の装置を使ってバリバリ仕事をするのがかっこいい放射線技師と思っていた私にとって、求人情報で見るクリニックや小規模な病院で仕事をすることはイメージしにくいものでした。

しかしある時ふと思いました。

そのプライドってどれだけ大事なんだ?

そこまで放射線技師の仕事が大好きなのか?この職場じゃなきゃダメなのか?家族と過ごすよりも大事なのか?

放射線技師としてどうなのかという狭い範囲で考えるのではなく、もっと広く私の人生全ての中でその差が大きいことなのか考えなければならないのではないだろうか?

最終的に出した答えは、働く病院の大小で私の人生の幸福度は左右されないということでした。

魅力的な求人が見つからない

転職が頭の片隅に浮かんできた頃からちょこちょこ転職情報をググってチェックするようにしていましたが、自分が思い描くような求人は見当たりませんでした。

当時の職場が高給与で福利厚生も良く、転勤以外に不満がなかったのもあると思います。

転職に成功するまでに2年かかったのも、納得のいく良い転職先が見つからなかったことが一番の原因です。

この問題については後述する転職活動でもがく中で解決していきました。

大きなきっかけとなったのは転職サイトへの登録です。

現在の職場に転職できたのも転職エージェントからの情報があったからです。

実際に私が経験した転職活動歴

転職活動1:某線量測定会社

転職活動をはじめた当初は「どうせ同じ仕事なのに給料が下がるなら病院の放射線技師としては働きたくない」と考えており、病院以外の転職先を探していました。

最初に履歴書を出したのはとある線量測定会社でした。

確か求人ボックスに載っていた求人情報を見たのがきっかけです。

転勤はなく、仕事内容も収入も悪くなかったため問い合わせをしてみることにしました。

しかし当時の私は転職活動に関する常識に乏しく、大失敗をしてしまいます。

一発目の問い合わせで「年収はいくらになりますか?」と書いてしまったのです!

今となってはここに書くのも恥ずかしいくらい常識知らずの大失態ですね…

先方からは「条件に関しては面接でお話するのでまずは履歴書をお送りください」とのこと。

そりゃそうですよね。馬鹿な私に対して大人の対応です。

ですが私はさらに畳み掛けるように失敗を繰り返します…

履歴書の志望動機に転勤で家族と離れたくないため云々を書いてしまったのです。

なぜその会社に入りたいのか?という事を書かなければならないのに、自分の身の上話をしてしまうとは…あー恥ずかしい…

もちろん書類選考で落選でした。

放射線技師として大きな病院で働いてきていろいろなモダリティも経験し、自分の経歴に自信があっただけに書類選考は余裕で通過だろーと高をくくっていたら鼻っ柱を折られました。

転職活動2:某医療機器メーカー

一回目の転職活動で鼻っ柱は折られましたが心は折れず、地道に転職情報をチェックし続けていましたがなかなか良い会社は見つからず…

ここで放射線技師の転職サイトに登録をすることにしました。

登録は無料なので複数サイトに登録し、広く情報を集め始めます。

そこで気になったのが某医療機器メーカーのとある求人でした。

開発部での補助業務という面白そうな業務内容とフレックス制に魅力を感じ担当の転職エージェントへ連絡。早速応募準備に取り掛かりました。

苦手な履歴書の志望動機や自己PRですが、転職エージェントが的確なアドバイスをくれていい感じに仕上がっていきます。

その甲斐あって書類選考は無事通過。

一次面接に向けた対策が始まります。

面接なんて新卒以来なので約10年ぶりくらいです。

想定される質問に対する回答を考えてエージェントに添削してもらい、実際に模擬面接で練習もしました。

当日は直前までとても緊張しましたが、面接が始まってからは練習のおかげか落ち着いて対応でき好感触で終えることが出来ました。

結果は無事に一次面接通過。

あとは二次面接を通過できれば内定です。

二次面接に向けて準備を進めていると突然エージェントから連絡がありました。

なんと採用枠自体が無くなってしまったとのこと。

実はこの企業、少し前に買収されていて子会社となっていたのです(これは知っていましたし面接でもお話ありました)が、親会社から経営改善の一環として求人内容の見直しが入り私が応募した求人が取り下げとなってしまったのです。

エージェントとしてもこんなことは今までに聞いたことがないとのこと。

後日企業の担当者の方から直接の謝罪があり、もしまた求人を出すことになったら連絡を頂ける事にはなりましたが、かなり薄い望みでした。

転職活動3:慢性期病院

企業への転職がなかなかうまくいかない中、二人目も生まれて忙しくなりしばらく転職活動は滞っていました。

しかし転勤のお呼びもかかりそうな気配もあり、時間に余裕はありません。

そこでずっと避けていた病院への転職も検討し始めます。

病院への転職はほぼ確実に年収は下がると、どの転職サイトのエージェントからも話を聞いていました。

同じ仕事をするのに転職して給料が下がるのは我慢ならないため、どうせなら仕事の少なそうな慢性期病院でのんびり働きたいとの旨を転職エージェントには伝えました。

そんな中で紹介してもらったのが現在勤めている慢性期病院です。

実はこの求人はネットで自分でも見ていたのですが、ネットの情報だけだとそんなに魅力的に感じずスルーしていたのです。

転職エージェントからこの求人に関する裏情報を聞いたことで状況が一変します。

すでに何名か面接に行っているらしいのですが、どうやら20代の若い人が受けているらしく不採用が続いているとのこと。

エージェント曰く「慢性期で仕事が少ないから若い人が入ってもすぐ辞めてしまうのではないかと病院側が危惧している。ある程度経験を積んだ30代半ばくらいでワークライフバランスを取りたい人を欲している可能性が高い」とのこと。

まさに私が探していた求人だ!と思いすぐに応募することにしました。

久しぶりの転職活動でしたが、以前作成した履歴書や職務経歴書が残っていたためベースはすでに出来上がっており気は楽でした。

エージェントからは「あまりやる気のある感じを出すと不採用の可能性が高いので、やる気満々ではないけど仕事はしっかりやります的な絶妙なニュアンスでお願いします」との助言ももらいました。

半分ウソのかっこいい志望動機書くより楽だなーとそれほど苦労せずに助言通り履歴書や職務経歴書は完成。

面接対策も以前いろいろと指導してもらったこともあり、ダメ出しなし。

当日はさすがに少々緊張はしましたが、企業へ面接に行った時よりは終始リラックスして受け答え出来ました。

面接が終わると放射線科内の見学もさせてもらい、その後年収の提示がありました。

これが予想以上の提示額で、年収は下がりはするのですが許容範囲内。あとは結果を待つのみ。

そして1週間後、内定を頂きました。

複数の転職サイトへの登録が功を奏した

無事希望通りの職場へ転職出来たわけですが、思い返すと複数の転職サイトへの登録と転職エージェントからの助言が成功の鍵でした。

1つ目に受けた某線量測定会社は自分で求人は見つけられたものの、転職活動に素人すぎてまさかの書類選考で不合格でした。

その後転職サイトに登録することで某医療機器メーカーの求人を発見、担当の転職エージェントから助言や添削を受けて書類選考、一次面接を通過することが出来ました。

最初の恥ずかしい失敗から考えると大きな前進です。

結局は応募先の会社都合で内定は貰えませんでしたが、かなり良いところまで選考が進んだのは自分の中で自信になりましたし、履歴書や職務経歴書などベースとなる書類を作れたことも後の転職活動をスムーズに進めるうえで財産となりました。

そして最終的に転職が決まった慢性期病院、これは前回とは違う転職サイトからの紹介でした。

「若手よりも経験があってワークライフバランスを優先したい人を求めている」という病院側の情報が事前にあったことも私の中では非常に価値があり、それなら受けてみようかな?と思えました。

結局3回目の転職活動で成功したわけですが、転職サイトと転職エージェントのおかげで放射線技師転職界隈に無頓着だった私でもなんとかなりました。

私が登録していた放射線技師転職サイトを以下にまとめておきます。転職を考えている方は求人情報を見るだけでも良いので、ぜひ一度登録してみてください。

メディコ
放射線技師人材バンク
メディカル技師ワーカー

まとめ:転職して幸福度が上がった

転職したことで年収は下がりましたが、転勤に怯えることなく家族と暮らしながら働き続けられることに幸せを感じています。

年収が減ってから気づきましたが、多少お金が無くてもなんとかなるしそんなに気にならないものです。

高級車や豪邸に興味があるなら高年収が必要かもしれませんが、私にとっては家族と平穏な日々を過ごすことのほうが価値があり、そこに大金は必要ありません。

前職のまま転勤巡りをしていたら気付けなかったことかもしれません。

放射線技師の求人は少なく転職活動は茨の道かもしれませんが、転職は人生を変えてくれます。

私のように失敗しても最後は自分の居場所を見つけることが誰でも出来るはずです。転職で悩んでいる方はぜひ一歩を踏み出してみることをおすすめします!